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掛金と負担金

共済組合を運営していくための大切な財源です。

 共済組合が行う短期給付や長期給付及び保健事業に必要な費用、また、各市町村で運営する介護保険制度への納付金は、組合員が納める「掛金」・「組合員保険料」と、地方公共団体が納める「負担金」で賄われています。
 この「掛金」・「組合員保険料」及び「負担金」は標準報酬の月額と標準期末手当等の額を算定の基礎として計算され、納めることになります。
 それぞれの負担割合は次のとおりです。

※以降、特段の明記がない場合「組合員保険料」は「掛金」に含まれます。


負担割合
(注)
  1. 短期給付に必要な費用のうち、育児休業手当金及び介護休業手当金に要するものの一部は、公的負担として地方公共団体の負担です。
  2. 長期給付に必要な費用のうち、公務による障害・遺族の年金に要するものは、退職等年金に含まれます。

掛金と負担金

 短期給付(後期高齢者支援金等に必要な費用を含みます)、介護納付金の納付、保健事業に必要な費用(事務費を含みます)に充てるための掛金率及び負担金率は、各共済組合が計算し、定款で定めています。
 また、長期給付に必要な費用(基礎年金拠出金に必要な費用を含みます)に充てるための掛金率及び負担金率は、厚生年金保険については厚生年金保険法、退職等年金については地方公務員共済組合連合会の定款で定められ、経過的長期については地方公務員等共済組合法運用方針に基づき地方公務員共済組合連合会において決定します。
 さらに、短期給付及び長期給付の事業を実施するために必要な事務費は、地方公共団体が負担することになっています。

基礎年金拠出金に必要な費用

 基礎年金の給付に必要な費用は、公的年金制度全体で公平に基礎年金拠出金として負担することになっています。この基礎年金拠出金のうち2分の1は掛金・負担金として負担するとともに、2分の1は公的負担として地方公共団体が負担することになっています。


掛金と負担金の率 令和6年4月1日現在 (単位:‰)
費用の
区分
組合員の区分 組合員の掛金の率 地方公共団体の負担金の率
標準報酬の月額・標準期末手当等の額 標準報酬の月額・標準期末手当等の額
短期給付 短期分 一般組合員(特別職を含む) 51.50 52.34
短期組合員
特定消防組合員
市町村長組合員
後期高齢者等短期組合員 2.59 2.59
市町村長長期組合員
長期組合員
任意継続組合員 103.00
介護分 一般組合員(特別職を含む) 8.60 8.60
短期組合員
特定消防組合員
市町村長組合員
任意継続組合員 17.20
長期給付 厚生年金保険 一般組合員(特別職を含む) 91.50 91.50
特定消防組合員
市町村長組合員
退職等年金 一般組合員(特別職を含む) 7.50 7.50
特定消防組合員
市町村長組合員
市町村長長期組合員
長期組合員
経過的長期 一般組合員(特別職を含む) 0.0953
特定消防組合員
市町村長組合員
市町村長長期組合員
長期組合員
基礎年金 一般組合員(特別職を含む) 39.60
特定消防組合員
市町村長組合員
保健事業 一般組合員(特別職を含む) 2.12 2.12
短期組合員
特定消防組合員
市町村長組合員
後期高齢者等短期組合員
市町村長長期組合員
長期組合員

(注)

  1. 短期給付の負担金の率には、公的負担として地方公共団体が負担する、財政調整負担金の率と、育児休業手当金・介護休業手当金に要する費用の率が含まれています。
  2. 短期給付について、市町村長長期組合員と長期組合員(75歳以上である組合員)は、育児休業手当金・介護休業手当金に係る部分のみ掛金負担金の対象になります。
  3. 厚生年金保険の掛金は組合員保険料となります。なお、厚生年金は70歳到達日に資格を喪失することになるため、保険料等の算定は、70歳到達日の前月までとなります。
  4. 厚生年金保険の負担金の額は、地方公共団体として納付する全体の額から組合員保険料分を除いた額になります。

掛金の徴収

 掛金は、組合員となった月から、組合員の資格を喪失した日の属する月の前月(月末退職の場合はその月)まで、給料及び期末手当等から控除し、負担金と併せて共済組合に払込まれます。
 なお、月の途中で採用された(組合員となった)場合でも、1か月分の掛金が徴収されます。


掛金及び負担金の免除(産前産後休業、育児休業)

 産前産後休業期間中及び育児休業期間中の組合員は、本人の申し出により掛金及び地方公共団体の負担金が免除されます。
 ただし、産前産後休業期間は、原則として出産の日(出産の日が出産の予定日後であるときは、出産の予定日)以前42日(多胎妊娠の場合にあっては、98日)から出産の日後56日までの間に、育児休業期間は、育児休業開始から当該子の3歳の誕生日の前日までに限られます。

標準報酬制について

 平成27年10月1日から被用者年金制度が厚生年金に一元化されたことにより、厚生年金の支給額及び保険料の額については、標準報酬(基本給+諸手当)を基に算定する標準報酬制がとられています。

1 標準報酬
 「標準報酬」とは、共済組合の短期給付、介護納付金及び保健事業及び退職等年金給付に係る掛金・負担金や短期給付及び長期給付の給付金の額の算定の基礎並びに厚生年金保険給付の保険料及び給付金の額の算定の基礎となるものであり、組合員の受ける報酬月額(基本給+諸手当)に基づき決められます。
 組合員の受ける報酬は、時間外勤務手当などにより毎月異なりますが、掛金等の納付や各種給付金の支給を適切に行うため、標準報酬は一定の時点で決定又は改定し、適用する方法が取られています。
 なお、短期給付等や退職等年金給付の算定の基礎となる標準報酬は「標準報酬の月額」、厚生年金保険給付の算定の基礎となる標準報酬は「標準報酬月額」と規定されていますが、内容は同じです。
2 報酬月額
 「標準報酬」は、「報酬月額」をもとに算定します。報酬月額に含まれる報酬の範囲は原則として、給料及び諸手当等の全てです。ただし、臨時に受けるものや3か月を超える期間ごとに受ける期末・勤勉手当等は含まれません。
 また、現金以外で支給される被服や定期券などの現物給与についても、報酬月額に含まれます。
3 標準期末手当等(標準賞与)
 「標準期末手当等」とは、短期給付等及び長期給付に係る掛金・負担金や厚生年金保険給付に係る保険料の算定の基礎となるものです。
 なお、短期給付等や退職等年金給付の算定の基礎となる期末手当等は「標準期末手当等の額」、厚生年金保険給付の算定の基礎となる期末手当等は「標準賞与額」と規定されていますが、内容は同じです。
4 標準報酬の月額等の決め方
(1)標準報酬の月額(標準報酬月額)の決め方
 標準報酬の月額は、まず組合員の資格を取得したときに、組合員の受ける報酬月額を標準報酬等級表に当てはめて決定し、その後は年1回決まった時期に原則組合員全員の標準報酬の月額の見直しが行われるほか、報酬が大きく変動し一定の要件を満たしたときに改定されることとなっています。
(2)標準期末手当等の額(標準賞与額)の決め方
 組合員がその月に受けた期末手当等に基づいて標準期末手当等の額が決定されます。
 期末手当、勤勉手当、特定任期付職員業績手当、任期付研究員業績手当及び3月を超える期間ごとに支給される手当が該当します。
5 掛金等の計算方法
 短期給付等および退職等年金給付の掛金・負担金は、算定された標準報酬の月額に掛金・負担金率を乗じて算定し、厚生年金保険料については、算定された標準報酬月額に厚生年金保険料率を乗じて算定します。
 厚生年金保険料の計算方法は次のとおりです。
  1. 給与支給機関において納付すべき保険料額を算出する。
    標準報酬月額総額×保険料率(端数切捨て)
  2. 組合員保険料を算出する。
    標準報酬月額×保険料率÷2
    (個人ごとに端数切捨て)
  3. 事業主負担分を算出する
    給与支給機関における保険料額① - 組合員保険料の合計②

 なお、短期給付等及び退職等年金給付の負担金を算定する場合は、短期給付、介護納付金、保健事業及び退職等年金給付ごとに負担金率を乗じて算定します。

6 標準報酬等級表と掛金等の額
 標準報酬等級表

標準報酬月額等級表の見直し【令和4年10月】

 標準報酬は、退職等年金給付に係るものについては88,000円(第1級)から650,000円(第32級)まで32ランク、短期給付等に係るものについては58,000円(第1級)から1,390,000円(第50級)まで50ランクに区分されます。
7 決定と改定の種類
 標準報酬の決定と改定には、資格取得時決定、定時決定、随時改定、育児休業等終了時改定及び産前産後休業終了時改定の5種類があります。
(1)資格取得時決定
 組合員の資格を取得した者について、その資格を取得した日現在の報酬の額を報酬月額として標準報酬を決定します。
 資格取得時決定により決定された標準報酬は、組合員の資格を取得した日からその年の8月31日(6月1日から12月31日までの間に組合員の資格を取得した者については翌年の8月31日)まで適用されます。
※フルタイムの再任用職員について

  定年退職等により退職し、引き続き採用された者(フルタイムの再任用職員)は、大幅な報酬の減額が考えられますが、組合員資格の得喪は生じないため、本来は随時改定により4か月後に改定の判断となります。しかし、退職後引続かずにフルタイムの再任用職員となった者は、資格取得時決定により減額後の報酬により決定されることとの均衡を考慮し、随時改定による4か月目からの改定では著しく不当となるものと考え、随時改定の保険者算定として、資格取得時決定と同様の方法により算定します。

 なお、再任用2年目の職員については、通常どおり定時決定を行い、要件に該当するときは随時改定等の算定を行います。

(2)定時決定
 組合員が実際に受けている報酬と、既に決定されている標準報酬の月額との間に大きな差が生じないように、原則として、毎年7月1日現在の組合員全員について、4月、5月及び6月の3か月間に受けた報酬に係る届出を所属所から受け、当該3か月間の報酬の平均により、その年の9月以降の標準報酬の月額を決定します。この決定を「定時決定」といいます。
 定時決定は、原則として毎年7月1日に組合員である者(休業中、休職中及び欠勤している者を含む)が対象となります。
 ただし、6月1日から7月1日までの間に組合員の資格を取得した者、7月から9月までのいずれかの月に随時改定、育児休業等終了時改定または産前産後休業終了時改定が行われる者は、その年の定時決定の対象とはなりません。
 定時決定は、その年の9月1日から翌年の8月31日までの適用となります。
(3)随時改定
 組合員の標準報酬の月額は、毎年1回行われる定時決定により決定し、原則として次の定時決定までの間変更しません。しかし、昇給、昇格や異動等により、報酬の額が著しく変動した場合、組合員が実際に受ける報酬と決定されている標準報酬の月額の間に隔たりが生じ、実態にそぐわなくなることがあります。このような隔たりを解消するために標準報酬の月額を改定することを「随時改定」といいます。
随時改定は、昇給等により組合員の固定的給与に変動があり、かつ、継続した3月間に受けた報酬の総額を3で除して得た額を報酬月額として算定した標準報酬の等級と既に決定または改定されている従来の標準報酬の等級に原則として2等級以上の差がある場合に実施し、その翌月(4か月目)から標準報酬を改定します。
 また、2等級以上の差は、固定的給与と平均報酬月額のいずれも増額したか、いずれも減額した場合に限られます。したがって、固定的給与は増額したが非固定的給与が減額したため平均報酬月額が減額した場合または固定的給与は減額したが非固定的給与が増額したため平均報酬月額が増額した場合には、随時改定は行いません

※年間平均による保険者算定について

 定時決定における算定結果が年間平均の報酬月額と乖離し、著しく不当であると認められるときは、当年の4月、5月、6月の3か月の平均による報酬月額に基づく標準報酬の月額と、過去1年(前年7月から当年6月まで)の平均による報酬月額に基づく標準報酬の間に2等級以上の差が生じた場合であって、その差が業務の性質上、例年発生することが見込まれる場合に限り、所属所から「年間報酬の平均で算定することの申立書」及び「保険者算定申立に係る例年の状況、報酬の比較及び組合員の同意等」を受けて、年間報酬の平均で標準報酬の月額を決定する保険者算定を行うことができます。
 また、随時改定においては、次の要件を満たしている場合に限り、年間平均による保険者算定を行うことができます。
  1. 随時改定と年間報酬の平均額による改定の間に、2等級以上の差があること。
  2. 業務の性質上、例年発生することが見込まれること。
  3. 現在の標準報酬月額と年間報酬の平均額により算定した標準報酬月額との間に、1等級以上の差があること。
  4. 年間平均による保険者算定をすることについて、組合員の同意があること。

※固定的給与・非固定的給与

 報酬はその性質に応じて、次のように固定的給与と非固定的給与とに区分されます。
 なお、職員の給与、勤務時間その他の勤務条件については、地方自治法及び地方公務員法の規定により、条例により定めることとされているため、固定的給与及び非固定的給与の区分については、それぞれの条例に基づき、給与支給機関が個別に判断する必要があります。

ア 固定的給与
 固定的給与とは、勤務実績に直接関係なく、一定額が継続して支給される報酬をいいます。
 例)給料(給料表の給料月額)、扶養手当、地域手当、住居手当、初任給調整手当、通勤手当、単身赴任手当、管理職手当
イ 非固定的給与
 非固定的給与とは、勤務の実績に応じて変動する報酬をいいます。
 (報酬のうち、固定的給与以外のものが、非固定的給与となります。)
 例)時間外勤務手当、宿日直手当、管理職員特別勤務手当、夜間勤務手当、休日勤務手当、寒冷地手当

定時決定と随時改定等の関係(4月に固定的給与の増加があった場合)
  従前の標準
報酬の月額
4月の
報酬総額
5月の
報酬総額
6月の
報酬総額
4月~6月の
平均報酬月額
平均報酬月額を
等級表に
あてはめた額①
随時改定の判断 ①の適用年月

Aさん

20等級
340千円
386,489 400,054 370,326 385,623 22等級
380千円
該 当 随時改定により
7月から適用

Bさん

352,145 360,784 349,845 354,258 21等級
360千円
2等級差がない
ため非該当
定時決定により
9月から適用

Cさん

319,874 296,135 300,452 305,487 18等級
300千円
固定的給与の変動方向(増
加)と異なるため非該当
定時決定により
9月から適用

※ 4月に固定的給与の増加があったものとします。

※ 等級については、短期給付および退職等年金に係る等級としています。

(4)育児休業等終了時改定
 育児休業等を終了した組合員が、育児休業等終了日にその育児休業等に係る3歳に満たない子を養育する場合において、共済組合に申し出をしたときは、育児休業等終了日の翌日が属する月以後3か月間(支払基礎日数が17日未満の月は除く)に受けた報酬の総額をその期間の月数で除して得た額を報酬月額として標準報酬を改定します。
(5)産前産後休業終了時改定
 産前産後休業を終了した組合員が、産前産後休業終了日にその産前産後休業に係る子を養育する場合において、組合に申し出をしたときは、産前産後休業終了日の翌日が属する月以後3か月間(支払基準日数が17日未満の月は除く。)に受けた報酬の総額をその期間の月数で除して得た額を報酬月額として標準報酬を改定します。
 ただし、産前産後休養終了日の翌日に育児休業等を開始している場合は、産前産後休業終了時改定の対象とはなりません。
8 3歳に満たない子を養育する組合員等の給付算定基礎額の計算の特例(養育特例)
 3歳に満たない子を養育し、または養育していた組合員もしくは組合員であった者が、共済組合に申し出をしたときは、その標準報酬の月額が当該子を養育することとなった日の属する月の前月(基準月)の標準報酬の月額(従前標準報酬の月額)を下回る月については、従前の標準報酬の月額を基に年金額の計算をします。
 これは、主に育児休業等終了時改定により標準報酬が下がったことにより、将来の厚生年金保険給付や退職等年金給付が低くなってしまうことを避けるための措置ですが、標準報酬が下がった要因を限定していないことから、定時決定、随時改定及び産前産後休業終了時改定が行われた場合でも適用となります。